「日本製」と「国内組立」はどう違うのか|表示のルールを正しく読む

日本製」と「国内組立」はどう違うのか|表示のルールを正しく読む 買い方ガイド
「日本製」「MADE IN JAPAN」——この表示を信じて買っている人は多いはずです。ところが、原産国の表示そのものは法律上の義務ではありません。では何が規制されているのか。「国内組立」と書かれた商品は日本製なのか。実際に2025年、原産国表示をめぐって大手2社に措置命令が出ています。消費者庁と公正取引委員会の資料をもとに、正しい読み方を整理します。

原産国表示は「義務」ではなく「誤認させない義務」

まず、多くの人が誤解している点から。

消費者庁は公式のQ&Aで、景品表示法は「商品の原産国を必ず表示しなければならない」と義務付けるものではないと明言しています。つまり、原産国を書かずに売ること自体は違法ではありません。

規制されているのは、原産国を誤認させる表示のほうです。根拠は景品表示法第5条第3号にもとづく告示、正式名称を「商品の原産国に関する不当な表示」(昭和48年公正取引委員会告示第34号)といいます。

この告示は2つの方向から規制をかけています。

規制の内容
国内で生産された商品 外国の国名・地名・国旗・紋章、外国の事業者名やデザイナー名・商標、表示の全部または主要部分が外国の文字——これらによって国産だと判別しにくくなる表示を禁止
外国で生産された商品 原産国以外の国名・地名等、原産国以外の事業者名・商標、表示の全部または主要部分が和文——これらによって原産国が判別しにくくなる表示を禁止

要するに「日本製っぽく見せる」ことも「外国製っぽく見せる」ことも禁止されている、という構造です。

逆に言えば、運用基準は「国産である旨を明示する方法」も具体的に示しています。①「国産」「日本製」と明示する、②製造者名を明示する(例:製造 ○○株式会社)、③日本国内の工場名・所在地を併記する、④「Made in Japan」を目立つように表示する。この4つのいずれかがあれば、外国語のブランド名を使っていても不当表示にはあたりません。

日本製を名乗れる条件 — 実質的な変更をもたらす行為

ここが核心です。告示の備考は、原産国をこう定義しています。

「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国」

つまり、部品がどこ製かではなく、「商品を商品たらしめる工程」がどこで行われたかで決まります。

そして運用基準(昭和48年事務局長通達第12号)は、実質的な変更に「含まれない」行為を明示的に4つ挙げています。

これらは「日本製」の根拠になりません

  1. 商品にラベルを付け、その他標示を施すこと
  2. 商品を容器に詰め、又は包装をすること
  3. 商品を単に詰め合わせ、又は組み合わせること
  4. 簡単な部品の組立てをすること

4つめが決定的です。「国内組立」は、それだけでは日本製を意味しません。海外で作られた部品を日本で組み立てただけなら、原産国は日本ではないのです。

品目ごとの判定例

品目別の判定は別途の運用細則で定められており、たとえばこう整理されています。

  • 衣類 … 縫製を行った国。ラベル付け・梱包・簡単な刺繍やプリントは実質的変更にあたらない
  • 緑茶・紅茶 … 荒茶の製造を行った国
  • 清涼飲料水 … 原液・濃縮果汁の希釈を行った国

海外で織った生地を日本で縫えば日本製になり、日本の生地を海外で縫えば海外製になる。直感と逆に感じるかもしれませんが、これがルールです。

「国内」と書いて措置命令を受けた実例

2025年11月5日、公正取引委員会(東北事務所)が景品表示法にもとづく措置命令を出しました。対象は株式会社アイリスプラザと株式会社ダイユーエイトの2社です。

内容はこうです。原産国(地)に係る表示として「国内」と表示することにより、日本が原産国であるかのように示していたが、実際には外国で生産されたものだった——。対象商品はアイリスプラザ101商品、ダイユーエイト113商品にのぼります。

「国内」という2文字が処分対象になった
「日本製」と書いていなくても、日本が原産国だと誤認させれば違反になります。「国内◯◯」という表現を見たら、それが何を指しているのかを確認してください。「国内組立」「国内加工」「国内検品」——いずれも原産国が日本であることを意味しません。

過去には、サザエを「島根県産他国内産」と表示しながら実際は日本以外だった事例、はちみつに「いわて・もりおか」と表示しながら国内産と外国産を混合していた事例なども公表されています。

よくある誤解 — 品質表示ラベルに原産国はない

衣類や家電に付いている「品質表示」のタグ。あそこに原産国が書いてあると思っている人がいますが、あれは家庭用品品質表示法にもとづく表示で、原産国は対象外です。

同法が定める表示事項は次のとおりで、条文上「原産国」は含まれていません。

分野 主な表示事項
繊維製品 繊維の組成、家庭洗濯等取扱方法、はっ水性(該当品)、表示者名・連絡先
合成樹脂加工品 原料樹脂の種類、耐熱/耐冷温度、容量・寸法、取扱い上の注意
電気機械器具 消費電力、定格容量、年間消費電力量(該当品)、使用上の注意
雑貨工業品 品名、成分・材料の種類、用途、液性(洗剤等)

対象は4分野93品目(平成30年4月時点)。原産国の規律は、あくまで景品表示法側にあります。品質表示タグに国名がないからといって、何かが隠されているわけではありません。

食品だけはルールが違う

ここまでは工業製品の話です。食品には別体系の、しかも明確な表示義務があります。

食品表示法にもとづく食品表示基準により、2022年4月1日から、国内で製造・加工されたすべての加工食品に「原料原産地表示」が義務づけられました(輸入品を除く)。2017年9月の改正から約4年7か月の経過措置を経ての完全施行です。

  • 対象原材料:原則として重量割合1位の原材料
  • 表示方法:国別重量順表示が原則。3か国以上は「その他」でまとめることも可
  • 「又は表示」:産地が変動する場合、使用可能性のある国を「又は」でつなぐ(根拠書類の保管が条件)
  • 「大括り表示」:3か国以上の外国産を「輸入」とまとめる
  • 輸入品:原産国名の表示義務

「輸入又は国産」といった歯切れの悪い表示を見かけるのは、この制度によるものです。ごまかしではなく、制度が認めた書き方です。

確実に日本製を見分ける4つの方法

① 「日本製」「Made in Japan」の明示を探す

運用基準が認める表現です。これがあれば、実質的変更が日本で行われたことを意味します。「国内組立」「国内加工」ではなく、この表現かどうかを見てください。

② 製造者名と工場所在地を確認する

「製造 ○○株式会社」「○○工場(新潟県燕市)」といった記載も、国産である旨の明示として認められています。販売者名ではなく製造者名である点に注意してください。

③ 伝統的工芸品なら「伝統証紙」を探す

国指定の伝統的工芸品には、伝統的工芸品産業振興協会の「伝統証紙」が貼られています。これは産地検査に合格した製品にのみ貼付が許されるものです。

指定を受けるには、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)第2条が定める5つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 主として日常生活の用に供されるものであること
  2. その製造過程の主要部分が手工業的であること
  3. 伝統的な技術又は技法により製造されるものであること(おおむね100年以上の継続)
  4. 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられること(同じくおおむね100年以上)
  5. 一定の地域において少なくない数の者が製造していること(10企業以上または30人以上)

2025年10月27日時点で244品目が指定されています。直近では「東京手彫り印章」が加わりました。

④ 地域団体商標を確認する

「今治タオル」「南部鉄器」「大館曲げわっぱ」などは地域団体商標として登録されており、産地の外で作ったものは名乗れません。たとえば「大館曲げわっぱ」(登録第5591586号)の指定商品は「秋田県大館市に由来する製法により秋田県大館市で曲げ加工を施した」ものと定義されています。

産地が明確な日本製を探す

産地名がついた商品は、地域団体商標や伝統的工芸品の指定によって産地が担保されているものが多くあります。

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