この記事では、書類の正式名称・必要な本人確認書類・期限、そして失敗しても取り戻せることを、総務省と国税庁の資料をもとに整理します。
使える人の条件
ワンストップ特例は平成27年4月に始まった制度で、総務省は「ふるさと納税で寄附をする際に、簡単な書類の提出によって確定申告をする必要がなくなる」制度と説明しています。
使えるのは、次の両方を満たす人です。
- 確定申告が不要な給与所得者等であること
- 寄付した自治体の数が5団体以内であること(地方税法附則第7条第3項第5号・第10項第5号)
同じ市に3回寄付しても1団体です。逆に、6つの市に1回ずつ寄付すると、その時点でワンストップ特例は使えません。寄付するたびに申請書を出す必要があるので、回数と団体数は分けて数えてください。
申請書の正式名称と様式
提出する書類の正式名称は「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」です。地方税法施行規則の第五十五号の五様式として定められています。
ポータルサイトから寄付すると、自治体が返礼品と一緒に送ってくれることが多く、サイト側で氏名・住所が印字済みのものをダウンロードできる場合もあります。書き込む内容自体はごく単純です。
| 書類 | 様式 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 寄附金税額控除に係る 申告特例申請書 |
第五十五号の五様式 | 寄付ごとに提出する本体 |
| 申告特例申請事項 変更届出書 |
第五十五号の六様式 | 提出後に住所などが変わったとき |
| 申告特例通知書 | 第五十五号の七様式 | 自治体があなたの居住市区町村へ送る(寄付者の作業なし) |
本人確認書類の3パターン
申請書にはマイナンバー(個人番号)の確認と本人であることの確認の両方が必要です。組み合わせは3通りあります。
| パターン | 番号確認 | 身元確認 |
|---|---|---|
| A マイナンバーカードあり | マイナンバーカードのコピー(両面)だけでよい。番号のある面と顔写真のある面 | |
| B カードなし・顔写真つき証明書あり | 通知カード または 個人番号付きの住民票 |
運転免許証・パスポートなど1点 |
| C カードなし・顔写真つき証明書なし | 通知カード または 個人番号付きの住民票 |
健康保険証・年金手帳など2点以上 |
※上記は網走市の案内に基づく整理です。受け付ける書類の細目は自治体によって少し違うことがあるため、寄付先の案内も確認してください。
期限は翌年1月10日「必着」
提出期限は寄付をした年の翌年1月10日です。京都市の記入例には「提出期限:寄付日の翌年1月10日(必着)」と明記されています。消印有効ではありません。
12月31日に寄付すると、申請書が届くのは年明けです。そこから記入して返送すると、1月10日必着に間に合わないことがあります。12月中旬までに寄付を済ませるのが安全です。年内の締切については締切カレンダーの記事にまとめました。
引っ越したら変更届が要る
申請書を出したあとに引っ越した場合、申告特例申請事項変更届出書(第五十五号の六様式)を出す必要があります。総務省の様式にはこう書かれています。
ポイントは2つあります。提出先は寄付した自治体であって、引っ越し先の役所ではありません。そして電話番号の変更だけなら届出は不要です。
1月1日時点で住んでいる市区町村が住民税を課税するため、年末年始の引っ越しは特に注意が必要です。
無効になるケースと、その救済
総務省の通知は、次の場合にワンストップ特例が「全てなかったものとみなされ」「控除は適用されなくなる」としています。
| 無効になるケース | どうなるか |
|---|---|
| あとから確定申告をした (医療費控除・住宅ローン控除の初年度など) |
提出済みの申請がすべて無効。ふるさと納税分も確定申告に含めて申告し直す |
| 寄付先が6団体以上になった | すべて無効。確定申告(または住民税の申告)が必要 |
| 1月10日必着に間に合わなかった | その寄付分は特例が使えない |
国税庁は還付申告について「還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます」としています。ワンストップ特例に失敗しても、確定申告(還付申告)をすれば控除は受けられます。期限を1日過ぎたから全額パー、ということにはなりません。
特にうっかりしやすいのが「医療費控除のために確定申告をしたら、ワンストップ特例が無効になっていた」というパターンです。確定申告をするなら、ふるさと納税も必ず一緒に申告してください。
確定申告とは控除の入り方が違う
控除の「入り方」は2つの方法で違います。国税庁の説明では、ワンストップ特例の場合「所得税からの控除は発生せず、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に納付する住民税の減税という形で控除が行われます」。確定申告の場合は「所得税のほか、住民税から寄附金控除を受けることができます」。
| ワンストップ特例 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 所得税 | 控除なし | 還付される(口座に振込) |
| 住民税 | 全額をここで控除 | 翌年6月以降の住民税から控除 |
| 実感の仕方 | 翌年6月からの給与天引きが減る | 春に還付金+6月から天引きが減る |
どちらの方法でも、自己負担2,000円を除いた全額が控除されるという制度設計は共通です(上限額の範囲内の場合)。税目の内訳が違うだけで、手取りへの影響はほぼ同じと考えて差し支えありません。
きちんと控除されたかは、翌年5〜6月に勤務先経由で配られる住民税決定通知書の「税額控除額」欄で確認できます。おおむね(寄付額-2,000円)が入っていれば成功です。ここが空欄だったら、還付申告で取り戻してください。
少ない自治体に、まとめて寄付する。工芸品の産地は返礼品の種類も多いので、1つの自治体で完結させやすい選び方です。


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