2026年10月、ふるさと納税はこう変わる|「52.5%」の正しい読み方

2026年10月、ふるさと納税はこう変わる|「52.5%」の正しい読み方 ふるさと納税
2026年10月1日から、ふるさと納税の指定基準が変わります。ネット上では「経費が52.5%までになる」という説明をよく見かけますが、これは逆です。52.5%は経費の上限ではなく、自治体に残さなければならない金額の下限です。経費の上限はその裏返しで47.5%になります。

数字の意味を取り違えると、これから起きることの向きも読み違えます。総務省の資料と改正法にあたって整理しました。

決まったのは「活用可能額60%」という新しい基準

ふるさと納税の対象となる自治体は、総務大臣の指定を受けています。その指定を受けるための条件が指定基準で、平成31年総務省告示第179号に定められています。

現在の基準は、こう書かれています。

「指定対象期間において第一号寄附金の募集に要する費用の額の合計額が、当該指定対象期間において受領する第一号寄附金の額の合計額の百分の五十に相当する金額以下であること」
― 特例控除対象寄附金の対象となる都道府県等の指定に係る基準等(平成31年総務省告示第179号)第2条第2号

いわゆる「経費5割ルール」です。寄付を1万円集めるのにかかる費用(返礼品の調達費、送料、ポータルサイトへの手数料、決済手数料、事務費など)の合計が、5,000円以下でなければならない、という意味です。

2026年10月1日から、この条文は削除されます。かわりに入るのが「寄附金活用可能額を六割以上とすること」という新しい基準です。根拠は地方税法等の一部を改正する法律(令和8年3月31日 法律第2号)で、すでに成立・公布されています。

「52.5%」を経費の上限と読むのは誤り

新基準はいきなり60%にはなりません。総務省の資料は「令和8年指定から段階的に適用する。(R8:52.5%、R9:55%、R10:57.5%、R11:60%)」としています。

ここで大事なのは、この数字が「寄附金活用可能額」=自治体の手元に残る割合だということです。経費の上限は、100からこれを引いた残りになります。

指定年 時期 活用可能額
(自治体に残る割合)
経費の上限
(裏返した数字)
現行 2026年9月30日まで —— 50%
令和8年 2026年10月〜 52.5%以上 47.5%
令和9年 2027年10月〜 55%以上 45%
令和10年 2028年10月〜 57.5%以上 42.5%
令和11年 2029年10月〜 60%以上 40%
よくある誤読
「2029年から経費が60%まで使えるようになる」——これは真逆です。自治体に残す額が60%以上なので、経費に回せるのは40%まで。返礼品にかけられる金額は、増えるのではなく減ります。

なお「経費」には返礼品の調達費だけでなく、送料・ポータルサイト手数料・広報費・決済手数料・事務費がすべて含まれます。返礼品そのものの調達費には別途3割ルールがかかっているので、2つの規制が同時に効いている状態です。

2025年10月のポイント禁止とは別の改正

「またルールが変わるのか」と感じる方も多いと思います。整理すると、ここ数年で動いているのは別々の3つの見直しです。

改正 決まった時期 施行 内容
ポイント付与の禁止 令和6年6月28日
告示改正
2025年10月 ポータルサイトが寄付者にポイントを付けることを禁止(解説記事)
費用の透明化・
地場産品基準の明確化
令和7年6月24日
告示改正
2026年10月 1支払先あたり100万円以上の募集費用の公表など
活用可能額60% 令和8年3月31日
法律第2号
2026年10月〜
段階適用
経費5割基準を削除し、活用可能額の下限を新設

よく「ポイント禁止の次はこれ」とひとつながりに語られますが、告示の改正時期も根拠も別です。2026年10月には、2つの改正が同時に効き始めると理解しておくと正確です。

同時に決まった、あと2つの変更

高所得者の控除に上限(2027年の寄付分から)

住民税の特例控除額に193万円の定額上限が設けられます。給与収入でおよそ1億円に相当する水準です。適用は令和9年(2027年)の寄付分からで、2026年の寄付には関係ありません。一般的な年収の方には影響しない改正です。

指定取消制度の見直し

基準に違反した自治体の指定取消について、対象とできる期間が広がります。令和8年4月1日施行分と、令和8年10月1日施行分の2段階です。自治体側のルールなので、寄付者が直接気にする必要はありません。

寄付する側に何が起きるのか

ここからは、確認できる事実と、そうでないものを分けて書きます。

事実として言えることは、自治体が返礼品の調達・送料・手数料に使える金額の上限が、寄付額の50%から段階的に40%へ縮小するということです。これは新基準の算術上の帰結で、総務省の資料から直接導けます。

ここから先は推測です
「返礼品の量が減る」「還元率が下がる」「選択肢が狭まる」といった予測は、ネット上に大量にありますが、総務省の資料にも自治体の公式発表にも、そうした具体的な予測は書かれていません。経費の上限が下がる以上そうなりやすい、という推論にとどまります。当サイトも断定はしません。

ただ、経費には送料が含まれます。重くてかさばるもの——鉄器、焼きもの、まとまった量の食品——は送料の比率が高く、経費上限の影響を受けやすい構造にあります。工芸品を狙っている方は、この点だけ頭に置いておくとよいと思います。

2026年9月までの条件で選べる返礼品

現行の指定基準(経費上限50%)が適用されるのは2026年9月30日までです。工芸品は在庫と製作にも限りがあります。

9月中に寄付を急ぐべきか

結論から言うと、「無理に急ぐ必要はないが、欲しいものが決まっているなら早いほうがいい」です。理由を3つに分けます。

① 控除の上限額は変わらない

あなたが得をする金額(控除上限額)は、この改正では変わりません。2026年分についても、2027年分についても同じです。「早く寄付しないと損」という性質のものではありません。

② 変わるのは自治体側の経費上限

10月1日に全国の返礼品が一斉に入れ替わるわけではありません。自治体は指定対象期間(10月1日〜翌年9月30日)を通じた合計で基準を満たせばよいので、対応の仕方も時期も自治体ごとに違います。

③ ただし工芸品は、そもそも数が限られる

これは制度とは別の話です。手仕事の返礼品は年内の受付を早めに締め切る産地が多いのが実情です。年末に駆け込むと選択肢が残っていません。詳しくは締切の記事にまとめました。

まとめ

  • 2026年10月から、経費5割基準が廃止され「活用可能額52.5%以上」が始まる
  • 52.5%は経費の上限ではなく、自治体に残す額の下限。経費上限は47.5%
  • 2029年10月には活用可能額60%=経費上限40%まで縮小する
  • 控除の上限額は変わらないので、慌てる必要はない
  • ただし工芸品は在庫と締切の都合で、秋に動くほうが選択肢が広い

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